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 人里の寺子屋で教鞭を執る慧音は、ある日己の腕に奇妙な瞳が現れたことに気づいた。生徒たちの手前、それが自身のもう半分――白沢によるものだと誤魔化したが、噂は人里を巡るうち、『慧音が神獣・白沢として覚醒した』と尾ひれがついていく。  ご利益のある存在として人間たちに再度認識された結果、群がってきたのは慧音を求める人里の有力者たち。最初は不器用な挨拶で済んだそれも、次第に脇目も振らぬ手段に発展していく。すべては、白沢が徳の高い為政者の下に現れるから――お墨付きを欲する人々の行いに、慧音は苛立ちを募らせていく。  だが、加熱した上白沢慧音争奪戦の果てに待ち受けるのは、幻想郷の危機。叡智へ手を伸ばした者たちが破滅を巻き起こさんとする一方、慧音自身も鏡写しのように突きつけられることになる。自分もまた、叡智へと手を伸ばした語られざる歴史を持つのだと。  少女たちの「最も恐ろしいもの」について述べた、各巻完結型・幻想少女恐怖シリーズ第17弾。

 人里の寺子屋で教鞭を執る慧音は、ある日己の腕に奇妙な瞳が現れたことに気づいた。生徒たちの手前、それが自身のもう半分――白沢によるものだと誤魔化したが、噂は人里を巡るうち、『慧音が神獣・白沢として覚醒した』と尾ひれがついていく。  ご利益のある存在として人間たちに再度認識された結果、群がってきたのは慧音を求める人里の有力者たち。最初は不器用な挨拶で済んだそれも、次第に脇目も振らぬ手段に発展していく。すべては、白沢が徳の高い為政者の下に現れるから――お墨付きを欲する人々の行いに、慧音は苛立ちを募らせていく。  だが、加熱した上白沢慧音争奪戦の果てに待ち受けるのは、幻想郷の危機。叡智へ手を伸ばした者たちが破滅を巻き起こさんとする一方、慧音自身も鏡写しのように突きつけられることになる。自分もまた、叡智へと手を伸ばした語られざる歴史を持つのだと。  少女たちの「最も恐ろしいもの」について述べた、各巻完結型・幻想少女恐怖シリーズ第17弾。